<神のものは神に返す ルカの福音書20章20~26節>
イエス様は、『カエサル(ローマ皇帝)のものはカエサル(ローマ皇帝)に、神のものは神に返しなさい』(25節)と教え、信仰に基づく生活の実践を教えたのです。私たちはこの世の権威に従う、なぜなら私たちは神の権威に従うから、神がこの世の権威を立てたから。
1.私たちはこの世の権威に従う
イエス様は、「ローマ皇帝への納税」について問われました。この質問は、ローマ総督に引き渡すための罠でした。イエス様が「納税すべきでない」と答えても、「納税すべき」と答えても、どちらに答えても、イエス様をローマ総督に引き渡すことを容易にする質問でした。イエス様は彼らの悪意を見抜いて、彼らがデナリ銀貨(ローマ貨幣、ローマ皇帝の肖像と銘が刻印されている)を日常的に用いて、ローマ皇帝の恩恵を受けていることを実践的に示したのです。イエス様は、『カエサルのものはカエサルに返しなさい』(25節)と教えることで、ローマ皇帝から恩恵を受けているのだから、恩恵の一部を返すことは当然すべきことだと教えたのです。彼らの問題点は、「生活と信仰」を切り離し、別々のこと、対立的なこととして考えていることでした。しかしイエス様は、信仰に基づく生活の実践として、この世の権威に従うことを教えました。
2.私たちは神の権威に従うから
『神のものは神に返しなさい』(25節)の方が、はるかに重要であり、『神のものは神に返しなさい』との大きな範囲の中に、『カエサルのものはカエサルに返しなさい』(25節)は含まれます。『カエサル』 (ローマ皇帝)は当時の最高権力者であっても、神が立てた一人の人間、『神のもの』に過ぎません。『神のものは神に返しなさい』と教えて下さった『神のもの』とは、『神のかたち』(神の似姿)が刻印された「私たち自身」のことです。しかし『神のもの』である「私たち自身」を、私たちは「神に返そう」としているでしょうか。「ぶどう園の農夫のたとえ」(9~19節)のように、「自分のもの」とする罪を犯していないでしょうか。キリストの十字架の贖いの死と復活、神の愛を仰ぎ見ながら、『神のもの』である「私たち自身」を神に返し、神の権威に従いましょう。私たちは神の権威に従うからこそ、この世の権威に従うのです。
3.神がこの世の権威を立てたから
使徒パウロは、ローマ書13章1,2節で、「神がこの世の権威を立てた」ことを三度繰り返し強調しています。神がこの世の権威を立てたからこそ、私たちがこの世の権威に従うことを教えています。しかし、もし神が立てたこの世の権威が神に背くことを行い、神に背くことを私たちに命じるならば、使徒ペテロが教えたように(使徒5:29)、『人に従うよりも、神に従うべきです』。私たちは常に、国家に対して、社会に対して、『世の光、地の塩』(マタイ5:13,14)として、用いていただきましょう。
関連聖書箇所
◎創世記1章26、27節
26 神は仰せられた。「さあ、人をわれわれのかたちとして、われわれの似姿に造ろう。こうして彼らが、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地の上を這うすべてのものを支配するようにしよう。」
27 神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして人を創造し、男と女に彼らを創造された。
◎ローマ書13章1、2節
1 人はみな、上に立つ権威に従うべきです。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられているからです。
2 したがって、権威に反抗する者は、神の定めに逆らうのです。逆らう者は自分の身にさばきを招きます。
◎ローマ書13章6、7節
6 同じ理由で、あなたがたは税金も納めるのです。彼らは神の公僕であり、その務めに専念しているのです。
7 すべての人に対して義務を果たしなさい。税金を納めるべき人には税金を納め、関税を納めるべき人には関税を納め、恐れるべき人を恐れ、敬うべき人を敬いなさい。
◎使徒の働き5章29~32節
29 しかし、ペテロと使徒たちは答えた。「人に従うより、神に従うべきです。
30 私たちの父祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスを、よみがえらせました。
31 神は、イスラエルを悔い改めさせ、罪の赦しを与えるために、このイエスを導き手、また救い主として、ご自分の右に上げられました。
32 私たちはこれらのことの証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊も証人です。」
◎マタイの福音書5章13、14節
13 あなたがたは地の塩です。もし塩が塩気をなくしたら、何によって塩気をつけるのでしょうか。もう何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけです。
14 あなたがたは世の光です。山の上にある町は隠れることができません。