<真理のみことばを説き明かす テモテへの手紙第二2章14~26節>
私達は、異常気象で気候が変わっても、社会情勢が変わっても、決して変わることがない『真理のみことばを説き明かす』(15節)。まっすぐに説き明かす、悔いた心で真理を悟らせる、尊い器として用いられる。
1.まっすぐに説き明かす
使徒パウロは、殉教の死を前にどうしても伝えておかなければならないこととして、『真理のみことばをまっすぐに説き明かす』(15節)ことを教えています。ギリシャ語で『まっすぐに説き明かす』は、「農夫が種を蒔くために溝をまっすぐに掘る」という意味のことばでした。また英語の「オーソドックス」(正統な)の元になったことばです。使徒パウロが『まっすぐに説き明かす』ことを強調した背景には、当時の教会の「異端の教え」との戦いがありました。ギリシャ哲学の霊肉二元論に影響されて、『真理のみことば』を変えて、『復活はすでに起こった』(18節)と教えるグノーシス主義(知識主義)の異端を教える者達がいたのです。イエス・キリストは実在しなかった、十字架の死も、死からの復活もない、イエス・キリストを知識として知ることで、すでに霊的に復活していると教える異端です。私達は、『真理のみことば』を、罪の赦しも、永遠のいのちも、死からの復活もない、『俗悪な無駄話』(16節)に変えてしまうことに注意しなければなりません。
2.悔いた心で真理を悟らせる
『神の堅固な土台は据えられている』(19節)とあるように、神の御子イエス・キリストは受肉し、十字架で贖いの死を遂げ、三日目に死から復活することで、神の堅固な土台が据えられたのです。私達は、神の堅固な土台(イエス・キリスト)の上に、すでに始まった神の国を築く、堅実な働きを続けましょう。『真理のみことばを説き明かす』ことで、私達は、すでに主が知っておられる主に属する者達を見出すことができるのです。『真理のみことばを説き明かす』目的は、この世との議論に勝つことではありません。その目的は、神様が人々に悔い改めの心を与え真理を悟らせることです。私達は祈りながら、『優しく』『よく教え』『よく忍耐し』『柔和に教え導き』(24、25節)、神様が人々に悔い改めた心を与え真理を悟らせてくださることを祈りましょう。
3.尊い器として用いられる
21節に『その人は尊いことに用いられる器となる』とあります。Ⅱテモテ2章15節は、私(滝野牧師)が、牧師伝道師なる直接献身に導かれた召命のみことばです。召命のみことばとは、献身にお墨付きを与える証明書ではありません。召命のみことばとは、神様が命じた命令に私達が謙遜に従うためのみことばです。時には辛い試練の道を通ることがあります。しかし神様からの試練を通して、私達は『真理のみことばをまっすぐに説き明かす』、熟錬した者、恥じることのない働き人、尊い器として神様に用いられるのです。
関連聖書箇所
◎イザヤ書6章3~7節
3 互いにこう呼び交わしていた。「聖なる、聖なる、聖なる、万軍の【主】。その栄光は全地に満ちる。」
4 その叫ぶ者の声のために敷居の基は揺らぎ、宮は煙で満たされた。
5 私は言った。「ああ、私は滅んでしまう。この私は唇の汚れた者で、唇の汚れた民の間に住んでいる。しかも、万軍の【主】である王をこの目で見たのだから。」
6 すると、私のもとにセラフィムのひとりが飛んで来た。その手には、祭壇の上から火ばさみで取った、燃えさかる炭があった。
7 彼は、私の口にそれを触れさせて言った。「見よ。これがあなたの唇に触れたので、あなたの咎は取り除かれ、あなたの罪も赦された。」
参考資料
◎ラインホルド・ニーバーの祈り
『神よ、
変えることのできないものを、
心静かに受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを
与えてください。』