<信仰の務めを実現する テモテへの手紙第一1章1~11節>
今回、新たに講解説教(連続説教)を始める、「テモテへの手紙第一」は
「牧会書簡(教会を建てるための手紙)」と言われています。パウロは、『神に委ねられた信仰の務めを実現する』(4節)ことを教えています。信仰の務めを実現するとは、空しい成功に迷い込まず、委ねられた福音に基づいて、信仰から生まれる愛を目指すことです。
1.空しい成功に迷い込まない
「テモテへの手紙第一」は、先輩牧師であったパウロが、愛する若い牧師であったテモテに、神様から委ねられた神のことばとして書き送った手紙です。パウロは、「使徒の働き」の後の伝道旅行で、ギリシャのマケドニアの諸教会に向かう途中で、エペソ教会を牧会する牧師のテモテに、この手紙を送りました。パウロは、テモテに、当時エペソ教会にいた『違った教えを説く人達』(3節)を指導し、『信仰の務めを実現する』ことを教えるために、エペソ教会にとどまることを命じています。彼らは、ユダヤ人の律法主義者であり、『作り話』『系図』(4節)に興味を持ち、『空しい議論に迷い込んでいた』(6節)のです。彼らにとっては、ユダヤ人に神様から律法が与えられたことは、彼らが神様の選民であることの確かな証拠であり、律法は彼らの誇りでした。私達も、信仰の務めを実現することに、この世の価値観が持ち込まれ、空しい成功に迷い込むことに注意しようではありませんか。
2.委ねられた福音に基づいて
パウロは、『委ねられた福音』(11節)に基づいて、「律法を適切に用いる」(8節)ことを教えています。私達は福音から律法を理解しなければなりません。『委ねられた福音』とは、私達の罪の身代わりとなってイエス・キリストが十字架で死に、死から復活してくださったことです。私達はイエス・キリストの十字架の死と復活を信じる信仰によって救われるのです。律法は、私達のプライドを満足させるものではありません。律法は、私達が罪人であることに気付かせ、キリストに私達罪人を導く養育係です。律法を通して、私達は罪の痛みを覚え、罪の赦しを求めて、救い主イエス・キリストの救いに導かれるのです。委ねられた福音に基づいて、イエス・キリストの十字架の死と復活を謙遜に仰ぎ見ながら、信仰の務めを実現しようではありませんか。
3.信仰から生まれる愛を目指す
信仰の務めを実現することで、私達が目指す目標は、『きよい心と健全な良心と偽りのない信仰から生まれる愛』(5節)です。『きよい心』は、砕かれた悔いた心、罪を赦されたきよい心です。『健全な心』とは、神様の御心を求め与えられるキリストの心です。『偽りのない信仰』とは、キリストと交わる生きた信仰です。私達は、信仰の務めを実現することで、キリストと交わる生きた信仰から生まれるキリストの愛を目指そうではありませんか。
関連聖書箇所
◎ガラテヤ書3章24節
24 こうして、律法は私たちをキリストに導く養育係となりました。それは、私たちが信仰によって義と認められるためです